再建築不可物件は、建築基準法上の要件を満たせず、原則として建て替えができない土地や建物のことです。通常の不動産とは異なる特性を持つため、売却する際には思わぬトラブルに直面することが少なくありません。この記事では、再建築不可物件の売却で起こりがちなトラブルとその対処法について詳しく解説します。
トラブル1:相場より安価な売却額になる
再建築不可物件は、建て替えや大規模なリフォームが難しいため、一般的な物件に比べて需要が限られます。そのため、通常の相場よりも大幅に低い価格で売却されるケースがほとんどです。
トラブルへの対処法
- 相場を事前に把握しておく:複数の不動産業者に査定を依頼し、再建築不可物件専門の業者にも相談して、適正な価格帯を把握しておきましょう。
- 物件の魅力をアピールする:価格交渉の際には、物件の個性やメリットを強調することが重要です。たとえば、リフォームやリノベーションが不要なほど状態が良い、広々とした庭がある、風通しが良いなど、物件のポジティブな面を売り手側にアピールしましょう。
- 現金買取も視野に入れる:再建築不可物件はローンが組みにくいため、現金で購入できる買主を探すことになります。不動産業者による現金買取も一つの選択肢です。
トラブル2:契約不適合責任を問われる可能性がある
契約不適合責任とは、売買契約の際に契約内容と異なる点や隠れた瑕疵(かし)があった場合、売主が買主に対して負う責任のことです。再建築不可物件は、この瑕疵の定義が曖昧になりがちで、後々トラブルに発展する可能性があります。
例えば、「再建築不可物件であること」を売主が知らなかった、あるいは買主に伝えていなかった場合、買主は契約不適合責任として損害賠償を請求する可能性があります。
トラブルへの対処法
- 事前に告知事項を明確にする:物件の再建築ができない理由や、将来的に建て替えが難しいことなどを、重要事項説明書に必ず明記し、売買契約書にも記載しましょう。
- 専門家へ相談する:不動産の専門家(不動産鑑定士、弁護士など)に相談し、告知すべき事項を洗い出してもらうのが有効です。
トラブル3:買主が見つからない
再建築不可物件は、住宅ローンを組むことが難しいため、一般の個人が購入しにくいのが現状です。結果として、買い手が見つからずに売却活動が長期化するケースも少なくありません。
トラブルへの対処法
- 専門の不動産業者へ依頼する:再建築不可物件を専門に扱う不動産業者は、物件の特性を理解しており、適切な購入希望者を見つけるノウハウを持っています。
- 用途を限定した売却活動を行う:リノベーションして貸し出す投資家や、倉庫・駐車場として利用したい事業者など、特定のターゲットに絞った売却活動も有効です。
トラブル4:測量や境界確定で揉める
再建築不可物件は、接道義務を満たしていないことが原因で発生するケースが多く、隣地との境界が曖昧になっていることがあります。売買契約後、買主が隣地との境界確定を求めた際に、隣人との間でトラブルになる可能性があります。
トラブルへの対処法
- 事前に測量と境界確定を行う:売却前に土地家屋調査士に依頼して測量を行い、隣地所有者との間で境界を確定させておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
- 隣地所有者と協力する:隣地所有者が境界確定に協力してくれない場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
トラブル5:仲介手数料が高くなる可能性がある
再建築不可物件は、一般的な不動産に比べて売却に手間と時間がかかるため、不動産会社によっては仲介手数料を高く設定するケースがあります。
トラブルへの対処法
- 複数の不動産会社を比較検討する:複数の不動産会社に査定を依頼し、仲介手数料やサービス内容を比較しましょう。
- 手数料の交渉を行う:不動産会社に売却を依頼する前に、仲介手数料について交渉してみるのも良いでしょう。
再建築不可物件を売却する上でのチェックポイント
再建築不可物件を売却する際には、トラブルを避けるために以下のチェックポイントを事前に確認しておきましょう。
チェックポイント | 確認内容 |
---|---|
再建築不可の理由 | なぜ再建築ができないのか、その理由を正確に把握する(例:接道義務を満たしていない、建蔽率・容積率オーバーなど) |
物件の瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の不具合など、隠れた瑕疵がないかを確認する |
隣地との境界 | 隣地との境界が明確になっているか、境界標があるかを確認する |
売却価格 | 複数の業者に査定を依頼し、適正な価格を把握する |
売却期間 | 買い手が見つかるまでにある程度の期間がかかることを認識しておく |
専門業者への相談 | 再建築不可物件の売却実績が豊富な専門業者に相談する |
まとめ
再建築不可物件の売却は、専門的な知識と慎重な準備が必要です。相場より安価になりやすい、契約不適合責任を問われる可能性がある、買主が見つかりにくいなど、様々なトラブルが想定されます。しかし、物件の特性を正確に把握し、事前に適切な対策を講じることで、スムーズな売却を目指すことが可能です。
トラブルを未然に防ぐためには、再建築不可物件の専門知識を持つ不動産業者に相談することが最も重要です。専門家と協力し、物件のデメリットだけでなく、個性やメリットも最大限にアピールすることで、円滑な売却を実現しましょう。
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