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借地・底地

トラブル回避のために!借地・底地の契約書で押さえるべきポイント

土地の賃貸借契約である「借地」と、その土地を貸す側である「底地」は、一般の不動産賃貸とは異なる特殊な慣習や法律が関係するため、契約書作成時には特に慎重な対応が求められます。安易な契約は、将来的なトラブルの原因となり、大きな金銭的・精神的負担を招く可能性があります。

本記事では、借地権者(土地を借りる側)と底地権者(土地を貸す側)双方がトラブルを回避するために、借地・底地の契約書で押さえるべき重要なポイントを具体的に解説します。


借地・底地の契約書で押さえるべき共通の重要ポイント

借地・底地の契約書は、将来的な紛争を未然に防ぐための最も重要なツールです。以下の共通ポイントは、双方にとって必ず確認すべき事項です。

1. 契約の当事者と目的の明確化

  • 当事者の特定: 契約書には、借地権者と底地権者の氏名(法人名)、住所、連絡先を正確に記載します。共有名義の場合は、全ての共有者の情報を網羅し、代表者を明確に定めておくことが望ましいです。
  • 目的の明確化: 土地の賃貸借契約の目的(例:居住用建物の所有、事業用建物の所有など)を具体的に明記します。これにより、用途逸脱によるトラブルを未然に防ぎます。

2. 借地権の種類と存続期間

借地権には、主に「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。種類によって契約の更新の有無や期間が大きく異なりますので、どちらの借地権であるかを明確に定めることが不可欠です。

借地権の種類 特徴 存続期間(当初) 契約更新 建物買取請求権
普通借地権 契約期間満了後も、正当事由がない限り更新される 30年(初回) あり あり
定期借地権 契約期間満了で原則終了し、更新はない 50年以上 なし なし(特約で付与可能)
  • 存続期間: 借地権の種類に応じた存続期間を明記します。普通借地権の場合は初回30年、更新時は20年、再更新時は10年が原則です。定期借地権の場合は50年以上と定められています。
  • 更新の有無と条件: 普通借地権の場合は更新に関する条項を具体的に記載します。更新料や更新時の地代の見直しについても触れておくことが望ましいです。定期借地権の場合は、更新がないことを明確に記載し、建物収去特約の有無も確認します。

3. 地代に関する事項

地代は契約の根幹をなす要素であり、トラブルになりやすい部分です。以下の点を明確に定めます。

  • 地代の金額: 月額または年額の地代を明確に記載します。
  • 支払方法と期日: 銀行振込か持参か、毎月末日払いか翌月払いかなど、具体的な支払方法と期日を定めます。
  • 地代の増減額請求: 経済情勢の変化などにより地代が不相当になった場合の増減額請求権について、民法の原則を前提としつつも、特別な取り決めがある場合は記載します。ただし、借地借家法の強行規定により、一方的に増減額を制限する特約は無効となる場合があります。
  • 遅延損害金: 地代の支払いが遅延した場合の遅延損害金についても定めておくと、未払いの抑止力になります。

4. 契約解除に関する事項

どのような場合に契約が解除されるのかを明確に定めておくことで、将来的な紛争を回避できます。

  • 解除事由: 地代の滞納(〇ヶ月以上など)、土地の無断転貸、契約目的外の使用、建物の無断増改築など、具体的な解除事由を明記します。
  • 催告の有無: 解除に先立って催告が必要かどうかも定めます。

5. 契約終了時の原状回復と建物収去

  • 原状回復義務: 契約終了時に、土地を借りた当初の状態に戻す義務(原状回復義務)の有無を明確にします。
  • 建物収去義務: 定期借地権の場合、契約期間満了時に借地権者が建物を収去し、更地にして返還する義務(建物収去義務)があることが一般的です。その旨を明記します。普通借地権の場合は、借地権者に建物買取請求権が認められるため、建物収去義務は原則ありません。

借地権者が特に押さえるべきポイント

借地権者は、将来の住まいや事業の基盤となる土地を借りる側として、以下の点に特に注意が必要です。

1. 建築に関する制限

  • 建築可能な建物の種類: 土地に建築できる建物の種類(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)、階数、延床面積などに制限があるかを確認します。
  • 用途地域・建ぺい率・容積率: 建築基準法に基づく用途地域、建ぺい率、容積率など、建築制限に関する情報を事前に確認し、希望する建物を建築できるか確認します。
  • 増改築の承諾: 将来的な増改築の際に底地権者の承諾が必要となる旨、またその際の承諾料についても規定がある場合は確認します。

2. 譲渡・転貸の制限

  • 譲渡・転貸の可否: 借地権を第三者に譲渡したり、土地を転貸したりすることが可能か、またその際に底地権者の承諾が必要か、承諾料は発生するかを確認します。借地借家法では、底地権者の承諾がない限り譲渡・転貸は原則できませんが、特約で制限を設ける場合もあります。
  • 承諾料: 譲渡や転貸の際に承諾料が発生する場合の金額や算出方法を明確にします。

3. 災害時の取り扱い

  • 滅失時の地代: 地震や火災などで建物が滅失した場合、地代の支払いはどうなるか、契約解除の可能性などを確認します。
  • 再築の可否: 建物が滅失した場合に、改めて建物を再築できるか、底地権者の承諾が必要かを確認します。

底地権者が特に押さえるべきポイント

底地権者は、安定した地代収入と土地の価値維持のために、以下の点に特に注意が必要です。

1. 地代滞納時の対応

  • 解除事由の明確化: 地代の滞納が何ヶ月続いた場合に契約を解除できるのかを具体的に定めます。
  • 連帯保証人: 借地権者が個人の場合、連帯保証人を立ててもらうことで、地代滞納時のリスクを軽減できます。

2. 土地利用の制限

  • 用途制限: 契約目的以外の使用を禁止する条項を明確に設けます。
  • 無断増改築の禁止: 借地権者による無断での建物の増改築を禁止する条項を設けます。違反した場合の対応も定めます。

3. 固定資産税等の負担

  • 納税義務の明確化: 土地にかかる固定資産税や都市計画税は原則として底地権者が負担しますが、契約書でその旨を明確にしておきます。
  • 地代への反映: 固定資産税等の負担増が見込まれる場合、地代に適切に反映できるよう、地代の増減額請求に関する条項を確認しておきます。

まとめ

借地・底地の契約書は、双方にとって長期にわたる関係を築く上での基盤となります。トラブルを回避し、安心して土地の利用や貸し出しを行うためには、専門家(弁護士、司法書士、不動産鑑定士など)の助言を得ながら、契約書の細部に至るまで慎重に検討することが何よりも重要です。

本記事で解説したポイントを参考に、ご自身の状況に合わせて、納得のいく契約書を作成し、将来的なトラブルのリスクを最大限に抑えましょう。

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