老後の資金確保や住宅ローンの返済、事業資金の調達など、住み慣れた家に住み続けながら自宅を現金化できる「リースバック」への注目が高まっています。しかし、不動産会社や金融機関など多くの企業が参入しており、どこを選べばよいか迷ってしまう方も少なくありません。
リースバックは、単に「家を売る」だけではなく、その後の「賃貸契約」がセットになる複雑な仕組みです。安易に一社だけで決めてしまうと、賃料が高すぎたり、将来的に買い戻せなくなったりといったトラブルを招く恐れがあります。
本記事では、後悔しないリースバック会社の選び方として、比較すべき5つの重要ポイントを徹底解説します。
1. リースバックの基本構造を理解する
まず前提として、リースバックの仕組みを正しく把握しておきましょう。
リースバックとは、所有している不動産を専門の運営会社に売却し、同時にその会社と賃貸借契約を結ぶことで、そのまま自宅に住み続ける仕組みです。売却によってまとまった現金が得られ、所有者から借主になるため、固定資産税や火災保険料などの維持費が不要になります。
しかし、売却価格は市場価格の7割から8割程度になることが多く、毎月の家賃が発生するというデメリットもあります。だからこそ、会社選びが非常に重要になるのです。
2. 比較すべき5つのポイント
自分に最適な会社を見つけるためには、以下の5項目を軸に各社を比較検討しましょう。
ポイント①:売却価格と家賃のバランス
リースバックにおいて、売却価格と家賃は連動しています。売却価格が高ければ高いほど、投資家(運営会社)が期待する利回りも高くなるため、月々の家賃も上がります。
- 売却価格:市場価格の約70パーセントから90パーセント
- 家賃設定:売却価格に一定の期待利回り(年率6パーセントから10パーセント程度)を乗じて算出
「とにかく今すぐ大金が必要」であれば売却価格を重視すべきですが、「長く住み続けたい」のであれば、無理なく支払い続けられる家賃設定を優先すべきです。このバランスは会社によって算出基準が異なるため、必ず複数社から見積もりを取りましょう。
ポイント②:賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)
ここが最も見落としがちで、かつ最も重要なポイントです。賃貸契約には大きく分けて2つの種類があります。
- 普通借家契約:更新が前提の契約です。借主が希望すれば、原則としてそのまま住み続けることができます。長く住みたい場合は、この契約形態を提供している会社を選びましょう。
- 定期借家契約:契約期間があらかじめ決まっており、期間満了とともに退去する必要があります。会社によっては「再契約可能」としている場合もありますが、確実性では普通借家契約に劣ります。
ポイント③:買い戻しの条件と価格
将来的に余裕ができた際、自宅を買い戻したいと考えている場合は、契約書に「買戻特約」や「再売買の予約」を明記してくれる会社を選びましょう。
比較する際は、以下の点を確認してください。
- 買い戻し価格の算出根拠(売却価格の1.1倍など明確か)
- 買い戻しができる期限の設定があるか
- 親族への売却が可能か
一部の会社では、買い戻し価格が不当に高く設定されていたり、条件が厳しすぎて実質的に買い戻しが不可能なケースもあるため注意が必要です。
ポイント④:諸費用の透明性と負担範囲
契約時には印紙代や仲介手数料、事務手数料などの諸費用が発生します。また、入居中の修繕費を誰が負担するかも会社によって異なります。
- 仲介手数料の有無(直接買取の会社なら不要なことが多い)
- 礼金や更新料の設定
- 設備の故障(エアコンや給湯器など)の修繕負担
これらを比較表にまとめ、トータルでかかるコストを算出することが大切です。
ポイント⑤:会社の信頼性とサポート体制
リースバックは売却して終わりではありません。売却後、あなたはその会社の「店借人(テナント)」として長く付き合うことになります。
- 倒産リスクはないか(大手の安心感)
- 担当者の対応は丁寧で説明不足がないか
- シニア向けの安否確認サービスなどの付帯特典はあるか
特に、経営基盤が不安定な会社の場合、途中で物件が第三者に転売されてしまい、住み続ける権利が脅かされるリスクもゼロではありません。
3. 会社選びに役立つ比較表
主なチェック項目を以下の表に整理しました。検討の際に活用してください。
| 比較項目 | 会社A(大手不動産系) | 会社B(リースバック専業) | 会社C(地場工務店・不動産) |
|---|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の7割程度(手堅い) | 比較的高めを提示 | 交渉次第で柔軟 |
| 契約形態 | 普通借家が多い | 定期借家が多い | 相談に応じる |
| 家賃設定 | 標準的(安定) | 高めだが売却額も高い | 個別に設定 |
| 買い戻し | 明確なルールあり | 柔軟だが価格に注意 | 特約次第 |
| 審査の速さ | 数週間程度 | 数日~1週間(早い) | 担当者による |
4. リースバックで失敗しないための注意点
最後に、契約を進める前に必ず確認すべき落とし穴について解説します。
住宅ローンの残債確認
売却価格が住宅ローンの残債を下回ってしまう(オーバーローン)場合、差額を現金で用意しない限りリースバックは利用できません。まず、現在のローン残高と、複数の会社が出す査定額を照らし合わせることから始めてください。
家族の同意
家を売却することは、将来の相続財産を処分することと同義です。同居している家族はもちろん、別居している推定相続人(子供など)にも事前に相談しておくことを強くお勧めします。後々のトラブルを未然に防ぐためです。
管理費・修繕積立金の支払い(マンションの場合)
マンションをリースバックした場合、一般的には「所有者」である運営会社が管理費や修繕積立金を支払います。しかし、その分が家賃に上乗せされているケースがほとんどです。自分で払うのか、家賃に含まれているのかを明確にしましょう。
5. まとめ
リースバック会社選びの正解は、あなたの「何を優先したいか」によって変わります。
- まとまった資金を優先するなら、売却価格が高い会社
- 長く安心して住みたいなら、普通借家契約を選べる会社
- 将来取り戻したいなら、買い戻し条件が明確な会社
このように、目的に合わせて5つのポイントを比較することが成功への近道です。一社だけの提示を鵜呑みにせず、必ず複数の専門業者から提案を受け、納得いくまでシミュレーションを繰り返してください。
リースバックの検討を始める第一歩として、まずは一括査定などを利用して「自分の家がいくらで売れ、家賃がいくらになるのか」の相場を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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