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相続

住宅ローンが残っている家の相続はどうする?放棄・売却・住み続ける選択肢を解説

大切なご家族が亡くなられた際、悲しみとともに直面するのが相続の問題です。もし、遺された財産の中に住宅ローンが残っている家が含まれている場合、その対応はより複雑になります。「この家をどうすればいいのか」「ローンはどうなるのか」といった不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。

住宅ローンが残った家の相続には、主に「相続放棄」「家を売却する」「家に住み続ける」という3つの選択肢があります。どの選択肢を選ぶべきかは、住宅ローンの残高、家の資産価値、相続人の状況などによって異なります。

この記事では、住宅ローンが残った家を相続する際に知っておくべきことから、それぞれの選択肢のメリット・デメリット、手続き、そして最適な選択をするための判断ポイントまでを詳しく解説します。

住宅ローンが残った家を相続する際に知っておくべきこと

住宅ローンの「団体信用生命保険(団信)」とは?

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金によって残りの住宅ローンが完済される保険です。多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団信への加入が必須となっています。

もし、亡くなられた方が団信に加入していた場合、その保険金で住宅ローン残高が弁済されるため、相続人がローンの返済義務を引き継ぐ必要はなくなります。家は借金のない状態(または残債が大幅に減った状態)で相続されることになります。

団信に加入している場合としていない場合

  • 団信に加入している場合: 契約者が死亡した場合、保険金で住宅ローン残高が完済されます。家は実質的に「借金のない財産」として相続の対象となります。相続人は、家をそのまま相続することも、売却することも、比較的自由に選択できます。
  • 団信に加入していない場合: 契約者が死亡しても保険金による弁済が行われません。住宅ローンの残債はそのまま「負債」として相続人に引き継がれます。家という「プラスの財産」だけでなく、住宅ローンという「マイナスの財産」も同時に相続することになります。

団信の加入状況は、住宅ローンの契約書類で確認できます。不明な場合は、借入先の金融機関に問い合わせましょう。

相続人が団信に加入できるか?

被相続人(亡くなった方)が住宅ローンを契約する際に加入していた団信は、被相続人の死亡によって保険契約も終了するため、相続人がその団信を引き継ぐことはできません。

相続人が住宅ローンを引き継いでその家に住み続ける場合、新たに相続人自身が団信に加入できるかどうかは、その相続人の健康状態などによります。団信は加入者の健康状態を告知する必要があるため、健康状態によっては加入できないこともあります。

相続で考えられる3つの選択肢

住宅ローンが残った家を相続する場合、基本的に以下の3つの選択肢が考えられます。

選択肢 内容
① 相続放棄 相続人としての権利をすべて放棄し、家もローンも相続しない
② 家を売却する 家を売却し、その代金でローンを返済する
③ 家に住み続ける 相続人が住宅ローンを引き継ぎ、返済しながら家に住み続ける

それぞれの選択肢について、詳しく見ていきましょう。

選択肢①:相続放棄をする

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産(預貯金、不動産など)もマイナスの財産(借金、住宅ローンなど)も、すべての相続する権利を放棄することです。

相続放棄のメリット・デメリット

  • メリット: 住宅ローンの返済義務から完全に解放されます。負債を相続するリスクを回避できます。
  • デメリット: 家だけでなく、被相続人の預貯金やその他の財産も一切相続できなくなります。一度受理されると原則として撤回できません。他の相続人に影響が出る可能性があります(相続順位が繰り上がるなど)。

手続きの流れ

相続放棄は、原則として自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。必要な書類を揃え、家庭裁判所での手続きを行います。

注意点

3ヶ月の期間を過ぎると、原則として単純承認(すべての財産・負債を相続すること)したとみなされてしまいます。迷っている場合でも、期間内に家庭裁判所に相談するか、専門家(弁護士など)に相談することをお勧めします。また、相続財産の一部でも処分してしまうと、単純承認とみなされる場合があります。

選択肢②:家を売却する

住宅ローンが残っている家を売却し、その代金をローンの返済に充てる方法です。

住宅ローンの残債がある場合の売却方法

売却額と住宅ローン残高の関係によって、主に以下の2つのケースがあります。

  • (a) アンダーローン: 家の売却額が住宅ローンの残債を上回る場合です。売却代金でローンを完済し、手元に資金が残ります。通常の不動産売却と同じように手続きを進められます。
  • (b) オーバーローン: 家の売却額が住宅ローンの残債を下回る場合です。売却代金だけではローンを完済できません。この場合、通常は差額を自己資金で補う必要がありますが、それが難しい場合に検討されるのが「任意売却」です。

オーバーローンの場合の「任意売却」とは?

任意売却とは、住宅ローンを借りている金融機関の合意を得て、不動産を競売ではなく市場で売却する方法です。オーバーローンの状態でも、金融機関が合意すれば売却が可能になります。

  • メリット: 競売よりも高値で売却できる可能性があり、残債を減らせます。引っ越し代などを考慮してもらえる場合もあります。競売のように強制的な売却ではないため、精神的な負担が少ない場合があります。
  • デメリット: 金融機関との交渉が必要であり、必ずしも希望通りに進むとは限りません。売却後も住宅ローンの残債が残る場合があり、その返済について金融機関と協議する必要があります。

売却の手続きの流れ

通常の売却、任意売却いずれの場合も、不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。

  1. 不動産業者選びと媒介契約
  2. 売却価格の査定
  3. 売却活動(広告など)
  4. 買主との交渉、売買契約の締結
  5. (オーバーローンの任意売却の場合)金融機関との交渉・同意取得
  6. 決済・引き渡し(住宅ローンの抹消手続きも含む)

注意点

オーバーローンの場合、売却代金でローンを完済できないと、抵当権を抹消できず買主に引き渡せません。任意売却は、金融機関との協力が不可欠です。また、売却後も残った債務については、金融機関と返済計画を立てる必要があります。

選択肢③:家に住み続ける(相続人がローンを引き継ぐ)

相続人の誰かがその家に住み続けたい場合、住宅ローンを引き継いで返済していくことになります。

相続人がローンを引き継ぐ条件

住宅ローンの契約者が死亡した場合、その債務は相続人が法定相続分に応じて引き継ぐのが原則です。ただし、実際に家に住み続けてローンを返済していくのは、通常は特定の相続人でしょう。

金融機関は、債務者が変わることでローンの返済が滞るリスクを懸念するため、相続人がローンを引き継ぐことには金融機関の承認が必要です。相続人に安定した収入や十分な返済能力があるかが審査されます。

契約者変更(債務引受)の手続き

ローンを引き継ぐ場合、「免責的債務引受」または「重畳的債務引受」といった形で、相続人が住宅ローンの債務を引き受け、金融機関と契約を結び直す手続きが必要になります。金融機関との交渉と審査を経て行われます。

相続人が新たに住宅ローンを組むケース

元の住宅ローンを引き継ぐのではなく、相続人が新たに自分名義で住宅ローンを組み直し、その資金で元のローンを一括返済するという方法が取られることもあります。特に、元のローンの金利が高かったり、相続人の返済能力に合わせてローンを見直したい場合に有効です。

金融機関との交渉のポイント

ローンを引き継ぎたい意思と、そのための十分な返済能力があることを誠実に伝えましょう。収入状況、他の資産、相続人の数とそれぞれの状況などを具体的に説明できるように準備しておくと良いでしょう。

メリット・デメリット

  • メリット: 大切な思い出の詰まった家にそのまま住み続けることができます。
  • デメリット: 相続人が住宅ローンという大きな負債を抱えることになります。相続人に十分な返済能力がないと認められない場合、金融機関の承認を得られない可能性があります。

注意点

ローンを引き継ぐ相続人の返済能力を現実的に評価することが重要です。無理な返済計画は、将来的な破綻につながりかねません。また、他の相続人がいる場合、遺産分割協議で誰がローンを引き継ぐか、他の財産とどうバランスを取るかを慎重に話し合う必要があります。

相続手続きの流れ(家を含む場合)

住宅ローンが残った家を含む相続の場合、一般的な相続手続きに加えて、住宅ローンや不動産に関する手続きが必要になります。

  1. 遺言書の確認: 遺言書がある場合は、その内容を確認します。
  2. 相続人の確定: 誰が法定相続人になるかを確認します(戸籍謄本などを収集)。
  3. 相続財産・債務の調査: 預貯金、不動産、株式などのプラスの財産と、住宅ローン、借金などのマイナスの財産をすべて調査します。特に、住宅ローンの残高は金融機関に問い合わせて正確に把握します。
  4. 遺産分割協議: 相続人全員で、どの財産を誰が相続するかを話し合います。住宅ローンが残った家を誰が相続するのか、あるいは売却するのかなどをここで決定します。全員の合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。
  5. 相続登記: 家を相続する人が決まったら、その人へ不動産の名義変更を行います(相続登記)。これは司法書士に依頼するのが一般的です。
  6. 住宅ローンの名義変更または一括返済: 遺産分割協議で決定した内容に基づき、金融機関と交渉し、ローンの名義変更手続きを行うか、売却代金や他の財産で一括返済を行います。

どの選択肢を選ぶべきか?判断のポイント

3つの選択肢のどれを選ぶかは、状況によって異なります。以下の点を総合的に考慮して判断しましょう。

  • 住宅ローンの残債と家の市場価値の比較:
    • アンダーローンの場合:売却しても手元に資金が残るため、売却しやすい状況です。
    • オーバーローンの場合:自己資金で残債を補えるか、任意売却が可能か、相続放棄を検討するかなどが焦点になります。
  • 相続人の経済状況と返済能力:
    • ローンを引き継いで住み続けたい場合、安定した収入があり、長期にわたって返済できる経済力があるかが重要です。金融機関の審査に通る必要があります。
  • 他の相続財産の有無:
    • 住宅ローン以外のプラスの財産がどのくらいあるかによって、ローン返済に充てたり、他の相続人との間で財産を公平に分割したりする際の選択肢が変わってきます。
  • 相続人全員の意向:
    • 家をどうしたいか、誰が引き継ぐかなど、相続人全員で話し合い、合意形成を図ることが円滑な相続のために不可欠です。
  • 専門家への相談の重要性:
    • 相続、不動産、ローンの問題が絡み合う複雑な状況です。自己判断だけでなく、専門家の意見を聞くことが非常に重要です。

専門家への相談について

住宅ローンが残った家の相続問題は、法律、税金、不動産の専門知識が必要となる複雑なケースが多いです。一人で悩まず、早い段階で専門家に相談することをお勧めします。

  • 弁護士: 相続人同士の意見がまとまらない場合の遺産分割協議の調整、相続放棄の手続き、金融機関との交渉など、法律的な側面からのアドバイスやサポートを得られます。
  • 税理士: 相続税の計算や申告、相続財産の評価など、税金に関するアドバイスを得られます。
  • 司法書士: 不動産の相続登記の手続きを代行してもらえます。
  • 不動産業者(相続不動産や任意売却に詳しい業者): 家の市場価値の査定、売却可能性の判断、任意売却のサポートなどを依頼できます。

まとめ

住宅ローンが残っている家を相続するという問題は、多くの選択肢と複雑な手続きが伴います。団体信用生命保険の加入状況を確認し、相続放棄、家の売却、家に住み続けるという3つの選択肢それぞれのメリット・デメリットを理解することが第一歩です。

どの選択肢が最適かは、住宅ローンの残債、家の価値、相続人の経済状況、そして相続人全員の意向によって異なります。判断に迷う場合や手続きに不安がある場合は、弁護士、税理士、司法書士、不動産業者といった専門家に相談することをお勧めします。

早期に正確な情報を把握し、専門家のアドバイスを得ながら、ご自身の状況に合った最善の選択をすることが、この難しい問題を乗り越えるための鍵となります。

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