住み慣れた自宅を売却しながら、そのまま賃貸として住み続けることができるリースバック。老後の資金確保や住宅ローンの完済、急な資金調達の手段として、近年注目を集めています。特に戸建て物件におけるリースバックは、マンションとは異なる特徴やメリット、そして注意すべきポイントが存在します。
本記事では、戸建てのリースバックの基本的な仕組みから、マンションとの違い、失敗しないための注意点までを詳しく解説します。
戸建てのリースバックとは?仕組みとメリットを解説
リースバックとは、所有している不動産を専門の不動産会社や投資家に売却し、同時に賃貸借契約を結ぶことで、売却後も家賃を払いながらその物件に住み続ける仕組みのことです。
通常の売却であれば、物件を引き渡した後は退去しなければなりませんが、リースバックを活用すれば引っ越しの必要がありません。売却によってまとまった現金を手に入れつつ、生活環境を変えずに済むのが最大の利点です。
戸建てとマンションのリースバックにおける決定的な違い
同じリースバックでも、戸建てとマンションでは査定基準や維持費の考え方が大きく異なります。主な違いを以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 戸建てリースバック | マンションリースバック |
|---|---|---|
| 査定のポイント | 土地の価値が重視される | 立地と築年数、管理状況 |
| 家賃の設定 | 比較的柔軟に相談しやすい | 周辺相場に左右されやすい |
| 維持費の負担 | 修繕費用は自己負担が多い | 管理費・積立金がなくなる |
| 契約期間 | 長期居住が相談しやすい | 比較的短期(定期借家)が多い |
| 近隣への影響 | 境界トラブルに注意が必要 | 管理組合との関係が継続する |
1. 資産価値の残り方
戸建ての場合、建物の価値が下がっても土地の価値が残ります。そのため、築年数が経過していても一定の売却価格が期待できるケースが多いです。一方、マンションは専有部分の価値がメインとなるため、築年数による価格下落の影響を強く受けます。
2. 修繕と管理の責任
マンションの場合、管理費や修繕積立金は所有者が支払うものですが、リースバック後はこれらが不要になります(家賃に含まれる形になります)。しかし、戸建ての場合は、給湯器の故障や屋根の修理といったメンテナンス費用を、賃借人(元所有者)が負担する契約条件になることが一般的です。
3. 家賃設定の自由度
戸建ては一軒ごとに個別性が強いため、売却価格を抑える代わりに家賃を安くするといった、買い手との個別交渉が通りやすい傾向にあります。マンションは周辺の類似物件との比較が容易なため、相場から大きく外れた家賃設定が難しい場合があります。
戸建てリースバックのメリット
戸建てならではのメリットを深掘りしてみましょう。
引っ越し費用と手間をゼロにできる
戸建てからの引っ越しは、荷物の整理や大型家具の移動など多大な労力がかかります。リースバックなら、現在の住まいをそのまま使えるため、高齢者の方でも身体的・精神的な負担を抑えられます。
住宅ローンの完済と固定資産税の解消
売却代金で住宅ローンを一括返済でき、毎月の重荷を軽くできます。また、所有権が移転するため、毎年5月頃に届く固定資産税や都市計画税の支払い義務もなくなります。
庭や車庫をそのまま利用できる
長年手入れしてきた庭や、愛車を停めている車庫も、そのまま使い続けることができます。近隣住民に売却を知られるリスクも低いため、プライバシーを守りたい方にも適しています。
必ず確認すべき注意点とデメリット
メリットが多い一方で、戸建て特有のリスクも存在します。契約前に以下の点を確認してください。
1. 売却価格は市場価格よりも低くなる
リースバックでの売却価格は、通常の仲介売却に比べて7割から8割程度になるのが一般的です。これは買い手が「すぐに転売できない」「将来的な空室リスクを負う」といった制限を受けるためです。
2. 家賃が周辺相場より高くなる場合がある
リースバックの家賃は、物件の売却価格に一定の期待利回りを乗じて算出されます。高い売却価格を希望すると、その分、毎月の家賃が高額になり、家計を圧迫する恐れがあります。
3. 永久に住み続けられるとは限らない
契約の種類には、更新ができる普通借家契約と、期間満了で退去が必要な定期借家契約があります。戸建てリースバックでは後者が選ばれることも多く、その場合は契約更新ができず、数年後には退去を迫られるリスクがあります。
4. 境界確定が必要になる
戸建ての売却時には、隣地との境界が明確である必要があります。境界が不明瞭な場合、測量費用が発生したり、隣人との協議に時間がかかったりすることがあります。
リースバックを成功させるためのステップ
後悔しないための具体的な進め方を紹介します。
ステップ1:複数の会社から見積もりを取る
リースバックを扱う業者は増えていますが、提示される売却価格や家賃は会社によって100万円単位で変わることがあります。必ず3社以上から見積もりを取り、比較検討しましょう。
ステップ2:契約内容(借家契約の種類)を確認する
将来的にずっと住み続けたいのか、数年後に買い戻したいのか、あるいは一時的な資金調達なのか。目的に合わせて普通借家契約か定期借家契約かを選択してください。
ステップ3:付帯サービスを確認する
会社によっては、見守りサービスやハウスクリーニング、家財保険の負担などが付帯している場合があります。家賃の安さだけでなく、トータルでのメリットを判断しましょう。
まとめ
戸建てのリースバックは、資産である家を現金化しつつ、住み慣れた環境を維持できる優れた手法です。マンションと比較して土地の価値を活かしやすく、自由度の高い契約が期待できる一方で、修繕費の負担や契約期間の確認など、戸建て特有の留意点も存在します。
まずはご自身の物件がどの程度の価格で売却でき、家賃がいくらになるのか、プロに相談してシミュレーションを行うことから始めてみてはいかがでしょうか。
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