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空き家を相続したらまずやるべき5つのこと|放置すると起こるリスクとは?

相続で実家や遠方の不動産など「空き家」を取得するケースが増えています。しかし、「そのうち何とかしよう」と空き家を放置することは、大きなリスクを伴います。

固定資産税や維持費だけではなく、近隣住民とのトラブルや、最悪の場合、行政代執行で強制的に解体される可能性もあるのです。

この記事では、空き家を相続した人が「まずやるべき5つのこと」と、放置した場合に起こり得るリスクについて、具体的に解説します。

1. 空き家を放置すると起こる!3つの大きなリスク

「空き家対策特別措置法」が施行されて以来、空き家に対する自治体の対応は厳しくなっています。まずは、空き家を放置することがいかに危険であるかを理解しておきましょう。

リスク1:特定空き家に指定され、税金の優遇措置が解除される

空き家を放置して老朽化が進むと、市町村から「特定空き家」に指定される可能性があります。

特定空き家に指定されると、最も恐ろしいのは、固定資産税の優遇措置が解除されてしまうことです。

住宅用地には、固定資産税を最大で6分の1、都市計画税を最大で3分の1に減額する「住宅用地の特例」が適用されています。この特例が解除されると、税金が最大で6倍に跳ね上がることになります。

特例解除前の固定資産税 特例解除後の固定資産税(最大)
10万円 60万円
30万円 180万円

リスク2:老朽化による事故・損害賠償リスク

空き家は誰も住まなくなり、手入れが行き届かなくなると急激に劣化します。

  • 台風や地震などで屋根瓦や外壁が崩れ、隣家のカーポートを壊してしまった。
  • ベランダや庭木が荒れ放題になり、害虫(シロアリ、スズメバチなど)や害獣(ネズミ、アライグマなど)の発生源となってしまった。
  • 不審者や放火犯に侵入され、事件や火事の原因となった。

これらの事態が発生した場合、空き家の所有者であるあなたが管理責任を問われ、損害賠償責任を負うことになります。

リスク3:行政代執行による強制的な解体と費用の請求

特定空き家に指定されても改善命令に従わない場合、市町村は所有者に代わって、建物の解体や修繕を強制的に行うことができます(行政代執行)。

この強制的な解体・修繕にかかった費用は、すべて所有者であるあなたに請求されます。自治体が行う工事は、業者選定に時間がかけられず、一般的な解体費用よりも高額になるケースが多いため、大きな負担となります。

2. 空き家を相続したら「まずやるべき5つのこと」

これらのリスクを回避するためには、相続後すぐに以下の5つの行動を起こすことが重要です。

やるべきこと1:建物の状況を確認し、相続人全員の意思を統一する

まずは現地に赴き、空き家の状況を自分の目で確認します。雨漏り、シロアリ被害、設備の老朽化の状況をチェックし、写真に残しておきましょう。

そして、他の相続人全員と、「今後どうするか」の意思を統一することが最も重要です。

  • 売却する(すぐに?リフォームして?)
  • 賃貸に出す(修繕費用は?)
  • 自身で利用する(いつから?)
  • 解体して更地にする(特例解除のリスクは?)

方向性が決まれば、次のステップに進むことができます。

やるべきこと2:電気・水道などのライフラインの契約を見直す

誰も住まない空き家でも、電気と水道は解約しないことをおすすめします。

  • 電気: 契約を「最低限のアンペア数」に変更し、ブレーカーは落としておきます。内覧時や、定期的な換気・掃除で照明や掃除機を使う際に必要になります。
  • 水道: 契約を「中止」ではなく「休止」とし、月に1度は短時間でも通水しましょう。配管のサビや詰まりを予防し、悪臭を防ぐ効果があります。

ガスは使わないことが多いため、基本的には解約しても問題ありません。

やるべきこと3:火災保険・地震保険の契約内容を確認・変更する

火災保険や地震保険は、多くの場合「被相続人(亡くなった方)」名義で契約が残っています。保険の権利は相続の対象外のため、名義変更の手続きが必要です。

また、「居住用」から「非居住用(空き家)」に契約内容を変更する必要があります。これを怠ると、いざという時に保険金が支払われない可能性があります。

やるべきこと4:最低限の管理計画を立て、実行する

リスクを最小限に抑えるためには、定期的な管理が欠かせません。

項目 頻度 目的
通風・換気 1〜2回/月 湿気・カビの防止
通水 1回/月 配管のサビ・悪臭防止
清掃・点検 1〜2回/月 郵便受けの整理、雨漏り、破損チェック
庭木の剪定 季節ごと 越境による近隣トラブル防止

遠方に住んでいて管理が難しい場合は、空き家管理サービスを利用するか、不動産会社に相談することを検討しましょう。

やるべきこと5:売却・賃貸・利用の具体的な準備を始める

意思統一をした後は、その方向に向けて具体的な行動を始めます。

方向性 優先して行うこと 専門家
売却 不動産会社による査定、仲介契約(媒介契約) 不動産仲介会社
賃貸 リフォームの検討、賃貸管理会社の選定 不動産賃貸会社
利用 大規模な修繕やリフォームの計画 建築業者、リフォーム会社

特に売却を検討する場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、その不動産を得意とする業者を見つけることが成功の鍵となります。

3. 【選択肢別】空き家を手放すときの注意点

空き家をどうするか決めた後、特有の注意点があります。

1. 売却する場合:「相続登記」を必ず行う

売却するためには、法務局で「相続登記」を行い、空き家の名義を被相続人から相続人へ変更する必要があります。名義変更をしないと、不動産会社も契約を進められません。

相続登記は2024年4月から義務化されています。

2. 賃貸にする場合:「リフォーム費用」の検討

空き家は築年数が経っているケースが多く、賃貸に出すには水回りや内装の大規模なリフォームが必要になることがあります。

リフォーム費用と、将来的に得られる家賃収入を比較し、採算が取れるかを慎重に判断しましょう。

3. 解体して更地にする場合:税金が最大6倍になる覚悟を

前述の通り、建物を解体して更地にした場合、固定資産税の優遇措置が解除され、税金が大きく跳ね上がります。

売却まで時間がかかる場合、この「増税期間」の維持費を計算に入れておく必要があります。

まとめ

空き家を相続することは、不動産という資産を得ることであると同時に、「管理責任」という負債を負うことでもあります。

「空き家対策特別措置法」により、その責任は年々重くなっています。まずはこの記事でご紹介した「やるべき5つのこと」をすぐに行動に移し、特定空き家への指定や事故リスクを回避することが最優先です。

あなたが空き家の問題で悩まず、次の人生の選択肢に進めるよう、この記事が役立つことを願っています。

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