住み慣れた自宅に住み続けながら、その売却代金を手元に残せる「リースバック」。老後資金の確保や住宅ローンの完済、事業資金の調達など、さまざまな事情で注目を集めている仕組みです。
しかし、利用を検討する多くの方が抱く最大の不安は「本当に一生住み続けられるのか?」という点ではないでしょうか。せっかく自宅を売却して資金を得ても、数年後に立ち退きを迫られては本末転倒です。
本記事では、リースバックの契約形態による住める期間の違いや、立ち退きリスクを回避するためのポイントを詳しく解説します。
1. リースバックで「住み続けられるか」は契約の種類で決まる
リースバックを利用して自宅に住み続ける期間は、不動産会社(買い手)と結ぶ「賃貸借契約」の種類によって大きく異なります。ここが最も重要なポイントですので、まずは2つの契約形態の違いを理解しましょう。
普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の比較
| 項目 | 普通賃貸借契約 | 定期賃貸借契約 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 一般的に2年(更新可能) | 数年などあらかじめ決定 |
| 更新の有無 | 原則として更新できる | 更新がなく期間満了で終了 |
| 退去の強制 | 正当な事由がない限り不可 | 期間満了で必ず退去が必要 |
| 賃料の設定 | 相場に近いことが多い | 比較的柔軟に設定される |
普通賃貸借契約:長く住みたい人向け
普通賃貸借契約は、一般的な賃貸マンションなどの契約と同じ形式です。借地借家法によって借り手の権利が強く守られており、借り手が更新を希望すれば、貸し手側(不動産会社)は正当な理由がない限り更新を拒否できません。
「一生住み続けたい」「できるだけ長く今の環境を維持したい」という方は、この普通賃貸借契約を選択することが大前提となります。
定期賃貸借契約:短期間の居住向け
一方で、定期賃貸借契約は「あらかじめ決められた期間」が過ぎれば契約が終了します。基本的には更新という概念がなく、期間が終了すれば退去しなければなりません。
ただし、貸し手と借り手の合意があれば「再契約」という形で住み続けることも可能ですが、これは貸し手側の判断に委ねられるため、確約されたものではありません。
2. リースバックで立ち退きを迫られる5つのリスク
普通賃貸借契約を結んでいれば安心かというと、例外的に退去を求められたり、住み続けることが困難になったりするケースがあります。代表的な5つのリスクを確認しておきましょう。
① 家賃の滞納
最大の立ち退きリスクは家賃の滞納です。リースバック後の自宅は「自分の持ち物」ではなく「借り物」です。数ヶ月にわたって家賃を滞納すると、信頼関係が破壊されたとみなされ、強制解約・立ち退きの対象となります。
② 物件の所有者(買い手)の倒産
リースバックを依頼した不動産会社が倒産した場合、物件が第三者に転売される可能性があります。新しい所有者が契約を引き継ぐのが一般的ですが、契約条件の変更を求められたり、管理体制が変わったりすることでトラブルに発展するケースもゼロではありません。
③ 修繕トラブルと建物の老朽化
建物の老朽化が進み、倒壊の危険があるほど深刻なダメージがある場合、安全上の理由から立ち退きを求められることがあります。また、リースバックでは「小規模な修繕は借り手負担」とされる特約が多く、高額な修繕費が払えずに住環境が悪化する懸念もあります。
④ 契約更新時の賃料値上げ
普通賃貸借契約であっても、周辺の家賃相場が著しく上昇した場合などは、貸し手から賃料の値上げを打診されることがあります。支払えないほどの値上げを提示され、結果的に住み続けることを断念せざるを得ないケースが考えられます。
⑤ 買い戻し価格の高騰
「将来的に家を買い戻したい」と考えている場合、契約書に買い戻し価格を明記していないと、数年後に法外な金額を提示されることがあります。買い戻しができなければ、賃貸期間が終了した時点で退去を検討せざるを得なくなります。
3. 後悔しないために!住み続けるための対策とチェックリスト
リースバックで立ち退きリスクを最小限に抑え、安心して住み続けるためには、契約前の準備が不可欠です。
契約書を隅々まで確認する
もっとも基本的なことですが、契約書の種類が「普通賃貸借契約」になっているかを必ず確認してください。営業担当者が「ずっと住めますよ」と口頭で言っていても、書面が「定期賃貸借契約」であれば、法律上は期間満了で退去を求められても文句は言えません。
無理のない家賃設定にする
リースバックの家賃は、売却価格(買取価格)に一定の利回りを乗じて算出されます。売却価格を高く設定しすぎると、その分月々の家賃も高くなります。今の収入や年金の範囲内で、将来にわたって支払い続けられる金額かどうかを冷静にシミュレーションしましょう。
信頼できる会社選びをする
大手不動産会社や、リースバックの実績が豊富な会社を選ぶことも重要です。実績の少ない会社だと、資金繰りが悪化して物件をすぐに転売されてしまうリスクが高まります。
買い戻し条件を明文化する
もし将来的に買い戻す可能性があるなら、その価格や条件をあらかじめ契約書に明記してもらいましょう。これを「売買予約」といいます。価格が決まっていれば、目標金額を貯める計画も立てやすくなります。
4. リースバック以外の選択肢も検討すべきケース
リースバックは便利な仕組みですが、すべての人に最適とは限りません。「住み続けること」を最優先する場合、以下のような代替案も検討してみる価値があります。
- リバースモーゲージ:自宅を担保に融資を受ける方法。所有権は自分のままなので、立ち退きリスクは極めて低い(ただし、対象物件や年齢に制限あり)。
- 親族間売買:信頼できる親族に購入してもらい、家賃を払って住み続ける。赤の他人である業者に売るよりも安心感がある。
- 住み替え:自宅を高く売却し、より手頃な賃貸物件やコンパクトなマンションに引っ越す。管理費や固定資産税の負担から解放される。
まとめ:仕組みを正しく理解して「住まいの安心」を手に入れよう
リースバックで本当に住み続けられるかどうかは、ひとえに「契約内容」と「継続的な支払い能力」にかかっています。
定期賃貸借契約のワナに気をつけ、無理のない家賃設定を行い、信頼できるパートナー企業を見つけることができれば、リースバックは老後や生活の立て直しにおける強力な味方となります。
目先の現金だけでなく、5年後、10年後の生活を具体的にイメージした上で、慎重に判断しましょう。まずは複数の会社から見積もりを取り、契約条件を比較検討することから始めてみてください。
今後の具体的な手続きや、お勧めのリースバック業者の選び方についてさらに詳しく知りたい場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
コメント