近年、不動産市場では「リフォーム済物件」という言葉をよく耳にします。「古いままよりも、手を加えた方が高く売れるはず」と考える売主も少なくありません。しかし実際には、リフォームの費用に見合った価格で売れるとは限らないのが現実です。
本記事では、リフォーム済物件の実際の売却事例を紹介しながら、「高く売れる物件」と「損をする可能性のある物件」の違いを解説し、注意すべき落とし穴についてもわかりやすく紹介していきます。
リフォーム済物件が人気の理由
リフォーム済物件とは、売却前に内装や設備などを一定程度修繕・更新した物件のことです。以下のようなメリットから、多くの購入希望者に好まれる傾向にあります。
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内装が綺麗で、すぐに住める
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設備が新しく、故障のリスクが少ない
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リフォーム費用を別途かける必要がない
購入者にとっては、引っ越し後すぐに生活を始められるという利便性があり、心理的な安心感も得られます。
【事例で比較】リフォームによる売却価格の違い
実際にリフォームを行った物件と、行わなかった物件の売却価格を比較してみましょう。
物件所在地 | 築年数 | リフォーム有無 | リフォーム費用 | 売却価格 | 売却前との差額 |
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東京都多摩市 | 築25年 | あり | 約200万円 | 3,400万円 | +400万円 |
神奈川県横浜市 | 築28年 | なし | なし | 2,800万円 | 0円 |
千葉県船橋市 | 築30年 | あり(簡易) | 約80万円 | 2,650万円 | +150万円 |
上記のように、リフォームを施すことで売却価格が上がる事例もあります。しかし注意しなければならないのは、リフォーム費用以上の価格上昇が見込めるとは限らないという点です。
リフォーム済物件の「落とし穴」
売却を前提にリフォームをする際には、いくつかの落とし穴があります。以下で主な注意点を紹介します。
1. 費用が回収できないケースがある
フルリフォームに数百万円をかけても、相場に見合った売却価格しか得られなければ、リフォーム費用を回収できない赤字取引になる恐れがあります。
2. 買主の好みに合わない可能性
リフォーム内容が「売主の趣味」に寄ってしまうと、買主にとってはむしろマイナス評価となり、値下げ交渉の原因になる場合も。
3. 築年数や構造によっては評価されない
築古のマンションや耐震性に不安がある戸建ては、リフォームをしても構造上のマイナス評価をカバーしきれず、思ったほど高く売れないケースもあります。
どんな場合にリフォームが効果的か?
売却を目的としたリフォームは、以下のような条件を満たしている場合に効果的です。
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築20年前後の物件で、立地が良好
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表層(壁紙・フローリング・キッチン交換など)の簡易リフォーム
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物件のマイナス面が目立たなくなる範囲のリフォーム
また、物件によっては**「ハウスクリーニングや軽微な修繕だけでも十分に印象がアップ」**することがあります。大規模なリフォームを検討する前に、専門家に相談することが大切です。
不動産会社との連携が成功のカギ
リフォームを行うかどうか、どの程度の工事が効果的かを判断するには、信頼できる不動産会社との連携が不可欠です。市場動向や近隣の成約事例などをもとに、具体的なアドバイスをもらうことで、損のない判断がしやすくなります。
また、最近では「買取業者によるリフォーム込みの販売」など、リスクを避けながら高値売却を目指す選択肢も増えています。
まとめ:リフォームの目的と費用対効果を冷静に判断しよう
リフォーム済物件は、確かに第一印象が良くなり、一定の価格上昇効果も期待できます。しかし、すべての物件に当てはまるわけではなく、**「費用対効果の見極め」と「市場に合った判断」**が非常に重要です。
以下のようなポイントを意識しましょう。
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無理なフルリフォームよりも、簡易な見た目重視の修繕が効果的
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専門家に相談し、リフォームの必要性を冷静に見極める
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市場の相場に照らして、リターンが見込める範囲でのリフォームを
リフォームをするか迷っている方は、まずは信頼できる不動産会社に相談し、自分の物件にとって最適な売却戦略を立てることをおすすめします。
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